ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了:吉田豪『元アイドル!』

元アイドル! (新潮文庫)


■ アイドルを動かしていた“ダイナモ”とは?
史上最強インタビュアー・吉田豪氏によるアイドルを経験した女性たちの証言集。
同氏の徹底した下調べと絶妙の引きこみトークもあって、内容も爆弾発言の連続。
いわゆるタレント暴露本は読んだことのない自分には、余りに過激すぎたりする。


読んでいて感じたのは、想像以上の「アイドル」という職業を担うことの過酷さである。
本当に仕事を全うするだけでも大変そうだと素人視点でも感じたが、その異常な世界に
身をおいていた彼女たちのバックボーンもまた強烈で、虚像の裏の現実は怖かった。
読んでて「面白いけど、何か胸が詰まる」という感覚だった自分はダメだなぁ。


インタビューの中で、何となく共通項を探してみると、学校で浮いてる存在が多い。
しかも、どちらかといえば人気者でなく「いじめられっ子」タイプも多いから驚き。


だから、意外と、アイドルってのは、その立ち位置からは逆ベクトルにいる人が
なっていたりする。でも、そうして培ったタフさがダイナモだったのかもしれない。
どんな世界でもそうだけど、表向きで華やかな世界でも裏では酷いことは少なくない。
証言を聞いていればアイドル業界もそうらしい。だから、華やかさだけ知っててもダメ。


死を覚悟するほど辛い思いをしたり、理不尽なことを要求されても、一度は辞めてても、
現在も業界に「アイドルあがり」で存在し続ける人たちの力強さを無駄に感じていた。
昔のアイドルが持っていた輝きって、ギリギリの状態から生み出されていたのかも。
そのストイックさが足りない部分ではないかと考えたり。情報化の波だけではなく。


軽い気持ちで読みはじめたけど、結果的にはすごい考えさせられる内容でした。
アイドル自体はは全然詳しくないけど、アイドルは常々哲学できる分野だと信じてる。
なので、今後も世の中に溢れるアイドル的要素には今後も目を向けていきたいです。