ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了:宇都宮徹壱『股旅フットボール』

股旅フットボール


■ “代表ともJとも違う”日本サッカーの風景とは?
スポナビのコラムで『宇都宮徹壱JFL定点観測』を書かれている宇都宮氏の新著。
本書で取り上げられているのは地域リーグ都道府県リーグで奮闘しているチーム。
こうしたチームは天皇杯で上位に進出しない限り、メディアでは注目されないのでは。


むしろ、そうした特別な舞台ではない、日常の風景というのを知らない人が多いだろう。
本作は各地に足を運んだ宇都宮氏が選手・関係者の証言と試合模様をレポしている。


完全プロのJ1と異なり、アマチュアとプロの狭間にゆれるチーム事情が浮き彫りになる。
例えば、仕事の兼ね合いで試合に出れない選手がいたり、遠路の練習場に苦労したり、
各チームとしても「本気でJを目指す」という姿勢を前面に出しているチームもあれば、
地域スポーツを担うクラブとして、今後も運営していく方針を掲げるチームもあったり。


また、サッカー熱の点でも未開の地、Jに挟まれた地など、不利な条件も少なくない。
そして、プロチームを運営するのはお金がかかるのだ。だから、選択が求められる。
そうした事情を抱えながら、情熱を燃やす人たちがいて、思いを抱くサポーターがいる。
夢と現実、副題にある光と影が交差する空間、それが地域リーグの風景かもしれない。


本書を読んで、Jが始まって15年が経過して、サッカー文化が広がりを感じる一方で、
自分が川崎という土地でサッカーを見ていることが恵まれている、と考えたりもする。
そんな川崎で育ったから、川崎を離れても、その土地に根付いたサッカーを見たい。
学生最後の今年、サッカーは生活の一部にシフトしてきた。そんな思いを大切にしたい。