ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了・コミック:羽海野チカ『3月のライオン(1)』

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■ 橋を渡った先には満開の羽海野ワールド
物語、17歳のプロ棋士である主人公・海山零と彼をとりまく人との交流を描く。
幼い頃に両親を亡くし、プロ棋士の育て親の家族を将棋で引き裂いてしまった零。
そうした過去を抱える彼の深い孤独の氷を、周囲の人達は少しずつ溶かしていく。


ハチミツとクローバー』で少年少女を胸キュンさせた羽海野チカ先生の最新作。
掲載紙を女性向けコミック誌から、何故か『ヤングアニマル』へと主戦場を移す。
本誌では全く読んでなかったが、電車の広告やら本屋の平積みに惹かれ、購入す。


率直な感想、ヤバイ、グッと来た。序盤のインパクトは『ハチクロ』より上かも。
あずまんが』の残像で腰引き気味で読んだら『よつばと』でドッカンした時に近い。
青年誌に主戦場を変えても、『ジャンプ』ゲノムを持つ羽海野先生だけに無問題か?


相変わらず、ウェットな心理描写とドタバタな掛け合いの緩急の付け方が絶妙だ。
もちろん、個性あふれるキャラが目白押し。自分はもっちり系の晴信君は大好き。
そうした部分での『ハチクロ』との共通点もあって、私はすぐに作品に入り込めた。


一方で『ハチクロ』との相違点は疾走感がなく、物語をゆっくりと進めてること。
もちろん、キャラはドタバタと躍動する。しかし、要所で零の心の声が重く響く。
なので、電車で最初に読み終わった感触としては“しんみり”としてしまったり。


周囲の人達を通じて、零がどう変わっていくのか、早く続きが読みたい。
彼の抱える心の闇というのは本当に深い、光がどこまで届いていくのだろうか。


ああ、町並みに既視感があったんだけど『三井不動産レジデンシャル』のCMか。