ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

文化庁メディア芸術祭:アニメ審査講評を読んで

http://plaza.bunka.go.jp/festival/kouhyou/anime.html
■ 技術の向上・作品性の希薄
主査の富野御大が最初に取り上げたのは、デジタル技術の向上について。
話題になった綺麗な映像、良く動く映像こそがデジタル技術の向上を裏付ける。
アニメーションは新たな技術の移行段階を済ませ、次のステップへ向かっている。


技術の反面、長編部門で講評している樋口真嗣氏と共に物語性の希薄を指摘する。
ビジュアル追求での「通商産業」としての進歩は感じられるが「文化」としては?
御大が仰っていられる『アニメ制作にも芝居心は必要なのだ』という言葉は重い。


たしかに「日本は作品を商品に変える力がない」とエンタメ誌で読んだ覚えが。
近年は、製作委員会制度の確立やコンテンツの拡充で商品力も向上してるだろう。
メディアミックスもスタンダードになり、広く発信する形が構築されたのは凄い。


だが、受け手含め「場面・シーンだけ盛り上がればいいや」気質が高まってるかも。
もちろん演出や作画に目を奪われることは悪くはないが、それだけが作品でもない。
やはり、作品には物語性・構成力、自分がよく言うプロセスみたいなものも大事だ。


良い意味で「記憶」に残る作品とは、そうしたモノが満たされてるからだろう。
お株違い、頭が固いのかもしれないけど、自分はやはりアニメにも求めてしまう。
富野御大の言う『映画的なるものを目指さなければならない』は切に願う次第だ。