ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了:宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー』(上)(中)(下)


ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫) ブレイブ・ストーリー (中) (角川文庫) ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫)


■ ファンタジー、されどリアリティ
運命を変えるべく、人の精神によって創り出された“幻界”へ旅立つワタル。
本編では一応のところ2部構成、上巻の大半を占める1部では現世での出来事。
ささやかな幸せを糧にしていたワタル、その家庭崩壊の様が妙にリアルに感じた。


“幻界”でワタルが経験したのもまた、ファンタジーでありながらもリアル。
人間であることから他の人種を差別する人達、人を騙すことを当たり前とする人。
ワタルの友人・ミツルも、願いのために“幻界”の人々を平気に傷つけてたりする。
でも、一方でワタルを助けてくれた仲間や幻界の人々との交流も数多くあったのだ。
様々な経験を通してワタルが出した考え・答えというのが終盤まで惹きつけられた。


物語的には終盤、たたみかけられた感じもするのでイマイチという印象もある。
それでも著者の引き出しの多さがあったからこそ作れたストーリーだと私は思う。
私的には最後まで面白く読めました、宮部みゆきの作品は読みやすいしね。