ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了:夏目房之介『漱石の孫』


漱石の孫 (新潮文庫)


■ 孫が語る漱石
関係ないが、今度大学に金田一京助先生の孫が来るらしい。
息子ならともかく、孫というのは何とも微妙な立場かもしれない。
本書の著者の場合、祖父・漱石に実際にあったことがないくらいだ。
だから、漱石について本で語るというのは、ここ数年のことらしい。


■ 話は倫敦から、多岐に亘る
きっかけは、テレビの企画と本職の漫画評論でロンドンに行ったことから。
自分の中で整理できていたはずの漱石に対して、何か変わったものがからだ。
本書は、夏目氏が漱石が滞在していたロンドンの街を歩いてみて感じたことや
自分、父、漱石といった夏目家に関するエピソードを中心に構成されている。


漱石の孫」以前に「マンガ評論家」として確固たる地位を築いた著者。
意外だったのは、その著者の本職でもあるマンガ論についても語られたこと。
だから、漱石以上にやはり著者の夏目氏という人物についてよく理解できた。


かく言う私も『マンガ夜話』でお馴染みの著者を多く知ることが出来た。
何となく、著者が祖父の存在に適度な距離感を保ってる印象は改めて感じた。